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ハッピーエイジング、ハッピーライフ

§ Vol.6 ライフプランは「95歳まで」で考えよう


日本人の平均寿命は男七九 歳、女八六歳。これは生まれた 赤ちゃんの平均余命で、六〇歳 になった人の場合は平均で男は 八二・五歳、女は八八歳まで生 きます。共に六〇歳の夫婦どち らかが九五歳まで生存する確率 は二五%、「……だから老後の 資金を考える際は九五歳までの プランニングを頭にいれておき ましょう!」と申し上げると、 皆さん一様にドキッとした表情 になります。

 「年金に対する不安」は世界 的傾向で、優雅なリタイア生活 を送れるのはほんの一握りの 人。多くの人は働き続けなけれ ばなりません。もっとも、仕事 は収入確保だけでなく、 「自分の役割が保てる」、 「多くの人と交流できる」 など、ハッピーエイジング にかえって資するという考 えが最近は優勢になってき ています。状況にもよりま すが、自営業、弁護士や会 計士等の専門職、芸術家、 農家などが有利になりそう ですネ。

 資産運用会社のフィデリティの調査では、退職までに貯 めた資金額に満足している日本 人は一六%のみ。そうかといっ て資産を生活費のため取り崩す ことには六八%が「抵抗があ る」と回答しています。日本人 は老後の資金に大きな不安を抱 えながら、ひたすら年金をあて にし、その範囲内での切り詰め た生活を考えているようです。
 なかには多額の資産がありな がらどうしても収入内での切り 詰めた生活しかできない人もい ます。あまりに節約術を磨きす ぎて、残りわずかな人生なのだ から世界中旅行したい、他人の ためにも使って喜んでもらいた いと頭では思うのに、どうして も財布の紐を緩ませることがで きません。そういう人には清水 の舞台から飛び降りるつもりで お金を使う、そんなトレーニン グが必要になります。

他方、米国ではリタイア後に 生活レベルを下げると大きなス トレスがかかるからと、むしろ 資産運用に励んで収入アップを図ることを推奨するアドバイザ ーが多いように思えます。日本 人は一般的に不安症なのでしょ うか、思い描く老後生活は緊縮 志向といえます。

 ハートフォード生命の国際的 調査によると、退職後の備えに 不安を感じつつも対策を講じて いない理由として、日本は「資 産形成に対する自信のなさ」が 六九%でダントツとなっていま す(韓国四七%、米国三三%、 ドイツ三〇%、英国二七%)。 さらに四四%が「資産形成につ いてのアドバイスをどこに求め てよいかわからない」と答えて います。日本で老後の資金不安 が顕著なのは、こうした現実が その背景にあるようです。

 今回の金融危機で欧米諸国の 自信にもかげりが出てきたかも しれません。これまで諸外国か ら散々カモにされ続けてきた日 本人。九五歳までのハッピーエ イジングの原資となるお金の知 識はしっかり身につけておき、 このあたりで金融オンチの汚名 を返上したいものです。長期的 には「貯蓄から投資へ」の流れ は変わらないでしょうから。

日本実業出版社・経営者会報 2009年7月号に掲載)
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