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欧米資産家に学ぶ二世教育
§ 第97回 経営者も二世教育を心掛けよう
歌舞伎、能、茶道などの伝統芸能、伝統文化はなぜ続いているのだろうか?
継いだ人全員が才能に恵まれていたとは到底思えないから、幼い頃からの厳しい訓練の賜物なのだろう。
昨今は音楽、スポーツでも同様に、幼いころから鍛錬を心がける親が増えている。
小堀遠州13世の小堀宗実氏にインタビューしたことがある。
「4−5歳の頃からおはこびとしてお手前をお客様に運んでいましたね。
頃合の見計り方、お客様への受け応えなど、今考えてみればあれもよいトレーニングになっていたんですネ」と述懐する。
「家元である父は家族旅行で宿に入るとお点前の道具をさっと出して家族に振舞った」とか「庭に咲いた花が次の日には茶室に生けられていた」などの話をされた。つまり日常すべてが教えだったのだろう。
こうした何気ない日々の生活のなかで価値観の継承がされるのは、同族経営者、いやごく普通のサラリーマン家庭とて同じことである。
私たちはもっと意識して二世教育を行うべきでないだろうか?
毎日の生活のなかで子どもにヒントを与える機会はいくらでもある。
子どもが何かに興味を示し「なぜ?」と聞けば、「なぜだと思う?」と問いかけ、物事の本質を考えさせるようにする。
一緒に遊んでいるときも、親が創造性を発揮すれば、子どもは「へー!そうか」と自分もクリエイティブになろう。
子どもに夢を持ってもらいたいなら、親が(或いは祖父母が)自分の夢を語ってみたらどうであろうか?
あなたが机に向かって真剣に勉強していれば、子は勉強が“カッコイイ”というメッセージを受け取る。
正しい姿勢、正しい箸の持ち方、時間を守ること、全てしかりである。
親が他人への気遣いを示せば、子にもそれは伝わる。「他人への心の回路」をつけることが将来のよい親子関係、そしてよい社会とのかかわり方につながる道となろう。
何世代にわたりエリートであり続けた欧米のファミリーには、どう子をどう鍛えるかのノウハウの蓄積がされているように思える。
ナニーや家庭教師を雇ってでも、幼少期より姿勢などのマナー、よい食事の習慣、健康の習慣をつけさせる。外国語をマスターさせ
(外国人のナニーを雇う、海外留学)、海外へ頻繁に連れ出し、グローバルな視点を持たせるなどの努力を忘れない。
他方、可能な限り、子どもを厳しく質素に育て決して甘やかさない。妥協はない。
成金はこの辺りが身に付いていない。5代以上続いたファミリーの特徴は「語り伝えがしっかりしていること」と言われている。
価値観がきちんと継承されないと、資産もついてこないということであろう。
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