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欧米資産家に学ぶ二世教育
§ 第73回 エリート養成 ― 大局観がもてる人
日本ではエリートいう言葉が反発を買うようだが、今ほど国・社会にとってエリートが求められている時はないと思う。
マスコミ等を通して文明文化論を展開する上野景文氏(元駐バチカン大使)は、
「国際的喧嘩屋」の養成が現在日本の急務だという。
「今日本に求められているのは国際的舞台できっちり、しかもやんわり喧嘩ができる喧嘩屋」。
その為にはエリート養成のスーパー大学を作る必要がある。
幅広い知識(リベラルアーツ)を修得させ、文明がせめぎあうような場を経験させることが一番。
なぜ幅広い知識が必要かといえば、それは大局観を持つため、専門家集団を使いこなすため、
社会のどこに問題があるか特定化する見識を培うためである。
上野氏によれば、
アメリカに代表される一神教のメンタリティーは大局観や創造性という面で優れているのに比べ、
多神教的メンタリティーを背景とする洗練されたデリカシーの持ち主である日本人は、
個別の対応に優れている反面、大局観を持つのを苦手とし、異なる文明に育った人をまとめるとか、
議論、争いや交渉の場で苦労するという。
たしかに日本人は国際交渉が下手くそだ。
アメリカや中国のように己の世界観のもと次々と要求を突きつけてくる相手に対して、
多神教メンタリティーで個別対応に終始し、ずるずる押し切られてきてしまう。
世界の場ではなかなかリーダーシップを発揮できない。
政治のみならず、企業活動においても各国チームを率いるリーダーシップに欠けるといわれる。
経営者に求められるのもこの大局観、将来を見通す力だと思う。
そのような後継者を日本でどう養成していくのか。
やはり古典を含む幅広い教養(リベラル・アーツ)を身につけさせること、
できれば留学させて「文明がせめぎあうような場」を体験させることだと思う。
そして海外進出の折は「国際的喧嘩屋」を雇うことも、念頭に置いておいた方がいいかもしれない。
そうした人材が日本にいないのなら、オーストラリア人、インド人だっていいではないか。
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