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欧米資産家に学ぶ二世教育

§ 第71回 子供達はいざという時 大丈夫なのか



昨年、驚異的な視聴率を誇った半沢直樹シリーズの作者池井戸潤
彼の作品には、中小企業の悲哀をテーマにしたストーリーが多い。
クライマックスではメガバンクや巨大企業に一矢報いるのだが、中小零細企業のオーナーたちはそこに至るまで、非常で理不尽な仕打ちに必死に耐えしのぶ。 著者自身が銀行員として遭遇した数多くの経験に裏打ちされているだけあって、まことにリアリティーに富んだ語り口である。

倒産の憂き目にあい家族離散となるケース、子供が進学を諦めて働き始めるケースなども多い。中には大学は行かずとも物凄い努力で世の中に飛躍していったり、一方で凋落の一途を辿るケースなど様々である。

家の環境激変への子供達の対応の差はどこから生じてくるのだろうか?
ひとつは「志」をもっているかであろう。
「父親のように社長になって世の中を見返してやるんだ」「俺には夢がある」と、踏ん張れる子。 志があれば、つらい日々は修行、自分が社長になったとき役立つ、と自分に言い聞かせることができる。 実際、松下幸之助をはじめ、親が事業に失敗し、苦労や辛酸を重ねつつ自ら起業し成功した人は決して少なくない。
では彼等はどう「志」を身に着けていくのだろうか?
たぶんそれは親の背中であり、親の日々の言動を見て培われていくのだと思う。いわゆる価値観の継承である。

いざというときのリスクプランを想定しておく必要がある。
子供が未成年の場合は親子での共同作業となろうが、どう生活費を確保するか、 奨学金やその他の公の援助についての知識、アルバイト、どこで情報を手に入れるか、等々。「頼りになる友達」は重要な存在だ。

親の愛情という安心感は大切だが、「どんな状況であれ生き残っていく」という緊張感も必要だと思う。

倒産などまさかの時、ともかくどう生活資金を確保するかを考えておくのは親自身の宿題である。
親の経済的破綻以外、子供自身の人生にはどんなリスクが待ち構えているだろうか。

親は自分の経験や周りの人のケースで説明するなどして、人生の種々のリスクに対して心構えをさせたい。その上で、思い切った決断、リスクをとっていくことの大切さを教えたい。
リスクという言葉はイタリア語の(risicare)が語源で、それは勇気をもって試みるという意味なのである。



(日本経営合理化協会日本経営合理化協会BOOK&CD・DVD Webサイト・ 『経営コラム・社長のネット情報局』に掲載)
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