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欧米資産家に学ぶ二世教育
§ 第7回 親側の教育−難しい退き際
昨日のホームパーティでの話題は「老害」。
出席していた弁護士が言い切った。「あの偉大な経営者も、やはり最後は権力にしがみつく普通の人になった」。
有能な人が会社・組織でその頂点を極めるのは素晴らしいことだと思う。ただ「権力の旨味」を知った人にとって、その座からおりること、特に当面支障がない状態で潔く退くことはなかなかできるものではない。かつては「名経営者」といわれた人達なのに、次世代のリーダーにその座をゆずろうとしない。権力が固定してしまえば異なる意見が出にくくなり、結局は組織をダメにしてしまう。
創業者が「どうも息子が頼りなくて、修羅場を潜っていないから」と愚痴るのをよく耳にする。そのとおりかもしれないが、権力を譲られなければ修羅場もくぐれない。大体60歳過ぎになって譲られたって新しいことに挑戦するパワーも出てこない。
「自分が辞めたくない」ための口実にしか思えないケースが多々ある。家より会社にいるほうが多勢にかしずかれて「ハッピー」なのだろうか。こうした社会的権力者でも家庭内で「奥さんには全く頭が上がらない状態」、更に「心の虐待」を受け続けているのなら勢い休日まで出勤してこよう。しかしこれは傍迷惑というもの。
引退専門家のソネフェルト教授によると、高齢になっても引退しない経営者がよく口にする台詞は3つあって、1つは「私はわが社で誰よりも懸命に働いている」、2つ目が「もし会社に貢献することができないと悟ったら、会社には留まらない」、そして圧巻は3つ目で「オレは例外だ」というセリフだそうだ。
肉体年齢で「自動引退」を決定するわけにはいかないが、何時までも頑張ると後継者の育成を阻害する。確かに素晴らしい功績があったかもしれないけれど、過去の成功体験にこだわるとそれだけ理念や方針が固定化しやすく、時代の変化に対応できず失敗することになりやすい。会社に替わる生きがい、社会貢献、趣味などを見つけ、まずは一度後進に道を譲ってほしい。
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