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欧米資産家に学ぶ二世教育
§ 第68回 同族経営における兄弟問題の解決法
兄弟姉妹間の争いにはつらいものがある。しかも親子よりつきあいの時間軸が長いだけに、その分問題を抱える期間も長くなる。
彼等が共に同族経営に関わっていたら更に状況は更に複雑化し、後継者争いをめぐるスキャンダルとなって広く報道されてしまう場合さえある。
これは海外とて同じで、派手なところでは、インドのWAVE社のオーナー一族のチャーダ兄弟二人は父親の死後悉く対立、ついには不動産をめぐって兄弟双方が同伴者も巻き込んだ撃ち合いとなり、ともに死亡してしまった。
インドのリライアンスグループを所有するアジア有数の資産家、アンバニ一族。父親の死後兄弟で財閥を分割相続するのだが、有利な条件でのガス供給を兄がストップしたため大紛糾し、
国の経済をも揺るがしかねない事件として日本でも報じられた。
フランスの大手広告代理店パブリシスを相続した姉妹間の自社株売却をめぐる対立も有名な事例である。
キャンプデン社が発行している『FB』(同族経営の専門誌)は、2013年春号で同族経営における兄弟姉妹の問題を取り上げ、
たしかに問題になるケースはあるが、慎重に取り扱われれば「兄弟姉妹の絆は生産的であり、実りの大きなものになりうる」とし、
イタリアの鉄鋼メーカー:マルセガグリア、フランスの広告代理店:ジーセードコー(JCDecaux)等を成功例として紹介している。
長男が後継者としてふさわしく、またその器であればよいのだが、そうではないとみなされた時に紛糾する。
同じ会社で働く場合でも兄弟姉妹が性格上或いは役割の面で補完的であればよいのだが、ライバル意識が強いとか、あるいは心理的ストレスが昂じると、関係自体に影響を及ぼしてしまうことになる。
ビジネス上のトラブルを個人の問題にしないことが肝要なのである。方針をめぐっての違い、やり方の違いについて、肉親であるだけに遠慮なく意見を戦わせることができるのは強みなのだが、
それが個人攻撃と受け取られてしまうとかえって厳しい対立につながり、会社の運営自体にも軋轢が生じることになる。
ではどうしたらいいのだろうか。
同誌が挙げている兄弟姉妹関係成功の秘訣は
- 圧力窯的な状況を作らない ─ 人は追い込まれると感情的になる
- 兄弟姉妹の役割分担を明確にする ─ 競争関係を作らない
- うまくいく場合のみ一緒に働く ─ 仲が悪い場合は一緒に働かないようにする
- 同じ目標を共有する ─ 同じビジョンや目標を持つことが大切
- ルールに基づいて行動する ─ 問題が発生する前に予め「ファミリールール」をコンサルタントに依頼して作成し、それに従って事を運ぶ
- 任せる ─ 同族経営の株主であっても経営に関与していない場合は口出しをしない
- 相談をする ─ 外部にアドバイスを求めることを躊躇しない
- 話し合い続ける ─ 兄弟姉妹関係を損なうことがないように、問題について徹底的に話しあうこと
- 聞く耳を持つ ─ 自分の意見で押しまくるのではなく、他の人の意見にも耳を傾ける態度を身につければ物事は変わっていく
- 妥協する ─ もし兄弟姉妹が別のことを希望しているなら、よく話し合い、より多くの人に受け入れられるようお互い妥協する
(お寄せいただいたご意見は、ご連絡・確認のうえで、
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