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欧米資産家に学ぶ二世教育
§ 第27回 豊かな時代の金銭・生活力教育
社会全体がまだ貧しかった時代、子供は飴玉ひとつだって喜んで手伝いをしたものだ。
当時皆「他人の何倍も努力しよう」とハングリーだったし、私自身「インフラの整わない日本では何かと不利だけど
頑張りの精神だけは誰にもまけない」、と世界へ挑戦する意気込みは旺盛であった。
豊かになった現在、あのようなハングリー精神はどこへいってしまったのか。
では日本よりずっと早くから豊かであった欧米先進国の富裕層はどうなのだろう。
私には、いわゆるエスタブリッシュメントのエリート層、成り金ではなく、代々資産を受け継いできたファミリーの中には
「気概」や「使命感」が培われている様に思えてならない。
子供のモチベーションを高め、エリートとしての子弟教育を怠らなかった故に、豊かであり続けてきたともいえるのではないだろうか。
私は全国各地で金銭教育の講演をしてきた。単にマネーマネジメント術を教えるのではなく、豊かな時代どうやったら
生活力のある子供(含大人)、積極思考でやる気のある、意欲のある人間を育成できるかという観点からの複合教育を提唱している。
豊かな時代の子育ては貧しい時代には余り必要でなかったノウハウが必要とされるのである。
まず「子供に欲しいもの、やりたいことを残す」ことが必要。それがモチベーションの原動力となるのだから。
「あれが欲しい」「あれやりたい」という望みを全て満たすことは親の武器を放棄しているようなものである。
欲しいもの、やりたい事を「勉強に邪魔」「入学試験には無駄」と全面否定してしまえば、欲、希望、好きなことをやりたいという意欲を失わせ、
極端な場合は一体何が好きなのかも解らなくなってしまう。これほど恐ろしいことはない。
また時間とお金を手にした親は「我が子可愛さ」の余り、子供のいじり過ぎに陥りやすい。子供が「自分の意思を持てる」ように気をつけよう。
子供が夢中になっているときは、多少みっともないことでも、可能な限りどんどんやらせよう。
子供の頭というのは、好きなことを一心不乱に追及している時にフル回転し、いろいろなアイディアを思いつき、創造力を培養していくのである。
トコトンやらせてみればいいのだ。きっと試行錯誤を繰り返しながら、交渉力や生活力を身につけていく。
欧米のエスタブリッシュメントは、よくみていると一旦親子で合意したことは頑なまでに最後まで守らせる。妥協しない。
それが自己責任をとるということであり、何事であれ成し遂げればそれが達成感につながり、更なるやる気を呼びこむことを知っているからである。
家の手伝い、宿題、なんとか褒めあげ、最後までやりとげさせようと涙ぐましい工夫をする。
「親子で決めた手伝いにも拘わらず、それをメイドさんがやった場合、その給料の一部は子供に請求すべきだと」と専門家はアドバイスさえする。
ここまでの自信や頑固さは日本人にはない。
エリート層は子供に厳しく決して甘やかさない。お金をふんだんに与えるようなこともしない。エリートは普通程度ではいけないのである。
恵まれた環境にいるのだから、他人の何倍も優れた人間を目指すのが当然であり、社会に多大な貢献をする義務があると教える。
教えられなくても「そうした気概を持つのが当たり前」の雰囲気のなかで育てようとする。
彼らは総じてグローバルな視点の持ち主である。子弟は寄宿学校で机を並べ、世界の保養地でヨットやスキー等を共に興じて育っていく。
今後はそうした後継者たちの目をもっとアジア、或いは他の途上国に向けさせようとするに違いない。彼らに異質な世界を体験させ、
将来のエネルギー、成長の源泉を肌身をもって感知させていくのである。
皆さんもお子さんたちをアジア、そして途上国に留学なり旅行をさせ、その貧しさや問題とともにエネルギーに接しさせてはどうだろうか。
そうした経験は将来ビジネスを展開する上できっと役立つことになろう。言語も英語に加え中国語ポルトガル語などにチャレンジさせてみてはどうだろうか。
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