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欧米資産家に学ぶ二世教育
§ 第25回 相続対策より子供を鍛えよう
オーナー経営者はどうやって自社株を後継者にゆずるか、節税案の提示を受けあれこれ知恵を絞る。
しかし、それより、5000万円なり何がしかのお金を子供に贈与し、それを元手に相続資金を頑張って自身で稼がせてみてはどうだろう。相続時精算課税制度が利用できればそれほどのコストにはならないはずだ。
ビジネスに投資するのは勿論、金融投資でもいい。できるなら、これからの成長が期待できるアジアに絡んだことをさせてみたい。アジア圏の情報が集まるシンガポールでビジネスを始めるとか、アジア投資を手掛けている香港の投資会社で修業させるなどアイディアは沢山あるはずだ。もしかしたらアジア各地に分散投資し大きく儲けて帰ってくるかもしれないではないか。
子供はアジアコンタクトを手にし、日本人が苦手とする租税条約を駆使する術まで学ぶかもしれない。若いうちから合理的に計算されたリスクをとる手法を身につければ、5000万円はともかく、必ずや早晩相続税の支払い原資を稼ぎだす力を獲得するに違いない。私の知り合いの男性はそうやって父親から早い段階で株式を買い取ることに成功した。稼ぐ力をつければ相続時に借り入れても返済できよう。
たとえ失敗しようと、真剣に努力した結果ならその経験はきっと将来に生きてくる。親の持っているもので子供に力をつけさせる。これがキーポイントではないだろうか。
反対に、単に親が子供を庇い護ってしまったらどうなるか。失敗し、傷つくことを恐れて転ばないうちから手をだしてしまう。これが繰り返されたら自信など生まれようもない。これでは草食系というよりモヤシのようなひ弱な人間を作りだしてしまう。リーダーの素質など論外で、一人前の職業人としての自信さえまずは生まれない。
失敗を自分の力で克服してこなかった人物が後継者になると「親のビジネスを継ぐのだから他の兄弟が相続を諦めるのは当然」と甘える。自分に対する誇りも期待できない。
ユニクロの創業者柳井正氏が「この人を社長にしたのは何故かと言いますと、この男が沢山失敗したからです。」と言い放った。失敗を重ねた分それだけ次回のビジネス展開でその知恵が生かされるというのである。
今の日本の若者は内向きで、苦労が多い留学や海外勤務を嫌がる傾向にあるという。
厳しいビジネスの世界で生き残るリーダーを養成するためには、少し乱暴かもしれないが、強制留学とか、アジアでのビジネスに単独挑戦させるくらい揺り動かさなければだめかもしれない。
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