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欧米資産家に学ぶ二世教育

§ 第24回 後継者は人づくりから



親は、自分が心血そそいで築き、あるいは守ってきたビジネスを子供が後を継いでくれることを願い、「後継者教育」に心を砕く。 実際、ファミリービジネスの一大メリットはそのように育成された後継者の存在である。

後継者育成は「人づくり」であり、有用な社会人づくりと重なる。しかし、すでに資産を有し、社会的、資金、人脈面でもはるかに有利な立場にあるにもかかわらず、 「恵まれた子弟」の人づくりは必ずしもうまくいかない。資産がある故、恵まれているが故のデメリットがあり、それに気付かないと「子供のため」という親心が かえってあだとなってしまうのである。

例えば、資産を持っている人はともすれば金で物事を解決してしまおうとするが、これは人づくりにおいては大きなマイナスである。 お金で機会を与えてやるのはいいのだが、成功までお膳立てしてしまうとウラナリのような自信のない子供しか育たない。

時間がなくかまってやれないのを「物や金で埋め合わせしよう」とする。無意識のうちにお金でコントロールしようとするがその結果は決して芳しくない。 また大事な子供が転んで怪我をしてしまっては大変と、つまずくまえに手をだしてしまうのも余裕があるが故のワナである。

守り過ぎ、管理し過ぎでは子供は生活力を身につけることができず、大人になれない。当然のことながらリーダーになど到底なり得ない。 子供が転んだり、失敗したりする機会を潰さないことが肝心で、これは長じて自分の会社に入社させた後も同じことである。 極貧の中で起業し、自らの力で成功を収めた創業者は「自分のような苦労をさせたくない」とついつい金品をふんだんに与え、これが子供をダメにする。 他方、成功した親をもつ子供の心理には複雑なものがあり、それを親はなかなか理解できない

後継者にビジネスの真髄を教えたい、自分の夢を語りたいと思っても、聞く耳を持たない子弟には文字通り馬の耳に念仏である。 親子の絆は一緒に過ごす時間のなかで培われるもの、大人になっている場合は同じ趣味を持つ、同じボランティアをするなど 仕事以外で時間を共有することが有用とされる。

ファミリービジネスの担い手となるには、ファミリーの一員としての自覚(アイデンティティ)、誇りを共有させることが肝要である。 そのためには祖父母や先祖のこと、親戚のエピソードを語りついで、そこにある何代もかかって培われてきた想い、 家族文化に目を向けさせることが大切だと思う。 これはファミリービジネスが云々とか、資産のあるなしに拘わらず、すべての人にとって必要なことではないだろうか。

そんな思いもあって、年末に「ハッピー日めくり」をつくってみた。自分が先祖から伝えられたもの、預かったもの、 そして自分が大切にしている言葉や想いを集めてみたので御一覧いただけたら幸いである。
ハッピー日めくり

(日本経営合理化協会AV局Webサイト・『経営コラム・社長のネット情報局』に掲載)
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